床暖WEB
 
施行方式による分類
電気床暖房 温水床暖房 温風床暖房
熱源方式による分類
構成部材の分類について
   
 
 
少し堅苦しい言い回し方をしますが、空調学会では空気調和(空調)とは「目的とする空間内の空気の温度・湿度・気流および清浄度をその目的にあった条件に調整し、これを室内に均一に分布させる事」と定義づけられてきましたが、「最近床暖房の人気度が高まり、この4要素に床・壁・天井の放射熱量と室内気圧の2要素が加味されるようになりました。」
この6要素を十分に考慮しながら、床暖房の設計・計画を行うことが重要です。
 
 
どの地域(地域特性)
 建築予定地域の気候条件とエネルギーの供給条件を確認します。
どの用途(建物特性)
住居・商業施設・オフィス・医療施設・教育施設・福祉施設などの用途目的などをおさえます。
どの建築構造(構造・仕上材)
木造構造(伝統工法・在来工法・板倉工法・ログハウス工法・2×4工法・2×6工法など)・鉄骨構造・RC構造・SRC構造や最近では、免震構造などの建築物の構造を把握します。また、床仕上げ材として、合板フローリング、ムクフローリング、石、タイル、畳、じゅうたん、カーペット、コルクタイルなどの使用する仕上げ材を明確にします。
よく現場で予算の関係上、パネル敷設面積を少なくしたり、元設計で示された性能を維持できない安価な商品が採用されたり、コストダウンを図ることがたまにありますが、床暖房の特質をもっとプロには理解してもらいたいものです。
どの部分(部屋の規模)
住居 LDK、寝室、浴室、廊下、トイレ、洗面所、子供部屋、家事室、書斎など
商業施設 食堂、厨房、事務所、プレイルームなど
医療施設 待合、診察、病室、廊下、手術室など
その他 ご採用を検討されている敷設面積の規模により、その使用選択が大きく関わってきます。
全体負荷容量と使用時間
建物の断熱性・気密性・使用時間を的確に把握し、全体負荷容量を導き出します。
 
 
機械設備的観点
設備費(イニシャルコスト)
採用しようとする床暖房システムの設備費を工法別にいくつかのパターンに分け比較、検討をします。
運転費(ランニングコスト) 
採用しようとする床暖房システムの運転費を熱源別にいくつかのパターンに分け比較、検討をします。ただし同一条件下での比較を行う事が大切です。
維持費
この維持費とは、メンテナンスに要する費用などです。
耐久性・保証内容
耐久性と保証内容は、使用する部材やメーカー、及び施工方法によって大きな違いがあります。特に電気式においては、漏電、温度過昇防止装置などの故障により、大きな事故につながることもありますから、各メーカーの仕様書や保証内容はもとより、放熱パネルのデータ(第三者機関によるものが望ましい)を確認することが望まれます。また施工においては、PL保険加入と有資格者がいる業者を必ずお選び下さい。無資格業者が施工した場合は、保険適用外となることが多く、のちのちにトラブルのもとになります。
信頼性
一流メーカーのものがすべて万全とは言えませんが、信頼に値するデータをたくさん用意しているのも一流メーカーです。できれば、データに裏付けされた技術と施工体系が整っているメーカーのものを採用することが懸命だと考えます。
高い信頼性とは責を問うだけの資力と技術力を持ったメーカーを指します。
機能的観点
温度の立ち上がりの速さ
立ち上がりの速さは、放熱パネルの放熱温度、室温、仕上げ材等に関係があります。床暖房システムを選ぶ場合、想定の立ち上がり時間を、あらかじめ知っておくことが大切です。床暖房の本来の効果を最大限発揮させるには、できるだけ低温で長時間連続稼動させることが望ましいのですが、必ずしも用途、目的によってこの限りではないことがあります。床暖房はファンストーブの様に早く温度が上昇するものではないという前提に立ち、考えなければなりません。
温度の均一性
床暖房のシステムの特徴は、放射暖房による室内温度の均一性を実現することです。対流式を基本とした24時間空調システムとは、異なる暖房感を実現できます。また、床暖房以外に放射熱を出すものとして、暖炉、コンベクター、蓄熱暖房機などがありますが、これらでは部屋の均一的な温度感は得られにくいことをご承知下さい。
発熱体の均一性
今では、温水式、電気式を問わず、発熱体の均一性は、昔に比べれば非常によく改善されています。均一になるように設計、施工することが当たり前です。しかし中には、ジョイント部分など、物理的に発熱させる事が出来ない部位が必ずあります。その部位を設計時には、あらかじめ明確にしておくことが必要です。
安全性(異常高温にならないか)
機械的安全装置
温水式の燃焼をつかさどるホームボイラーは、灯油・ガス・電気を問わず、ありとあらゆる安全装置が法規で義務付けられています。電気式は、法規で義務付けられた事は当然として、自主的に第三者機関によるそれ以上の安全性をクリアしたものをお奨めします。S-JET及びS-JEF認定を得た商品です。
故障の場合の対応性
ボイラーの交換やコントローラーの交換などは、比較的容易に故障の対応が出来ますが、床下の放熱部ともなれば、そう簡単にはいきませんので、より信頼性の高い部材と施工方法を選ぶべきです。また、信頼のおける施工業者には、のちのちのメンテナンス時に備え、施工図・施工写真を必ず保管しているものです。
無公害性
床暖房事業が出始めた頃には、仕上げ材・接着剤または放熱パネル自体に、ホルムアルデヒドを含む物質のものが多投されていた事は事実としてありました。最近では、シックハウスが叫ばれるようになり、無公害性の材質が使用されるようになり、この点に関しては安心していただける商品がほとんどとなりました。
環境性
リサイクル性
最近、放熱パネルについてもパネルを再利用できるかとの問い合わせが多く寄せられます。これは、パネルを構成する部材により大きく違います。ちなみに、電気式パネルではまだ無いのですが、温水パネルには100%リサイクル可能な製品があります。
省エネ性
床暖房の最大の特徴は、人・物を赤外線により直接暖めることにを目的としているために、室温が比較的低い状態であっても、十分な暖房感が得られます。エアコンなどの対流式のものは、何時間使用しても足元は常に冷たく、天井付近のみむやみに暖めてしまうのに比べると、床暖房は極めてバランスのとれた省エネルギー効果となります。
   
これらの条件の中からフローチャートをつくり優先順位を取捨選択していくことが自分にあったシステムを導き出すのに最も必要なことです。
目的建物を取り巻く諸条件を順に整理し、関連付けて検討するのが一般的な考え方です。床暖房方式を決定する場合は、すべて同一条件で行う事が必要です。条件の異なる比較では、何の意味も無いと考えます。
一般家庭では、輻射計算までは必要としませんが、300㎡を越えるような建物は、必ず輻射計算を行うことをお勧めします。
平均MRT輻射温度とは、床面全体の平均温度+天井表面の平均温度+壁(家具・ガラス面も含む)表面の平均温度の3つの温度をプラスし、3で割りかえした温度を指します。一般的には18~21℃が望ましい温度と言われています。
総合的に見た場合、電気式・温水式を併用するのが望ましい場合ももちろんあります。